階上中学校 第64回卒業生 答辞 (H23.3.22) [前向いて歩こう!]
あれから7ヵ月です。
夢のような…、夢なら覚めるはず…。覚めることのない現実の出来事でした。
未だに、いい知れぬ恐怖感が襲ってきます。気が付けば、人知れず涙を流し気を落ち着かせる日々をどれくらい重ねてきたでしょうか。
大人も子供も、地震に遭わなかった方々も、心の傷が癒えるには、たくさんの時間が必要です。
そんな中で7ヶ月経った節目の今日、震災から11日後に行われた気仙沼市立階上中学校の卒業式での答辞を…知っている人にはもう一度、 知らない人には是非。15歳の魂の底から湧き出てくる勇気と決意をお届けします。
答 辞
本日は、未曾有の大震災の傷も癒えないさなか私たちのために、卒業式を挙行していただきありがとうございます。
ちょうど 10日前の3月12日。春を思わせる暖かな日でした。
私たちは、そのキラキラ光る日差しの中を希望に胸を膨らませ、通いなれたこの学舎を
57名揃って巣立つはずでした。
前日の11日。一足早く渡された、思い出のたくさん詰まったアルバムを開き、十数時間後の卒業式に思いを馳せた友もいたことでしょう。
「東日本大震災」と名づけられる天変地異が起こるとも知らずに・・・。
階上中学校といえば「防災教育」といわれ、内外から高く評価され、十分な訓練もしていた、私たちでした。
しかし、自然の猛威の前には、人間の力は あまりにも無力で、私たちから大切なものを 容赦なく奪っていきました。
天が与えた試練というには、むごすぎるものでした。
つらくて、悔しくてたまりません。
時計の針は 14時46分を指したままです。でも、時は確実に流れています。
生かされた者として顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません。
命の重さを知るには、大きすぎる代償でした。
しかし、苦境にあっても、
天を恨まず、
運命に耐え、
助け合って生きていくことが、
これからの 私たちの使命です。
私たちは今、それぞれの新しい人生の一歩を踏み出します。
どこにいても、何をしていようとも、この地で、仲間と共有した時を忘れず、宝物として生きていきます。
後輩の皆さん、
階上中学校で過ごす「あたりまえ」に思える日々や友達が、いかに貴重なものかを考え、いとおしんで過ごしてください。
先生方、親身のご指導、ありがとうございました。
先生方が、いかに私たちを思ってくださっていたか、今になってよく分かります。
地域の皆さん、これまで様々なご支援をいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
お父さん、お母さん、家族の皆さん、これから私たちが歩んでいく姿を見守っていてください。
必ず、よき社会人になります。
私は、この階上中学校の生徒でいられたことを誇りに思います。
最後に、本当に、本当に、ありがとうございました。
平成23年3月22日
第64回卒業生代表 梶原 裕太
あの極限状態の時にこれほどの決意を持ち、強く深く、天も自然も人の心も全てを受け止め、
新しい道を歩きだしている梶原裕太さんに、
感謝とエールを贈らせていただきたいと思います。
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